「可愛い」アレルギー

学生の時分、私はいわゆる「可愛い~」扱いされる人間だった。

 

別にかわいこぶっていた訳ではない。幼稚園から小学生の頃はまあ可愛かったと思うんだけど(言い訳乙)、中学生になるとだんだん顔が伸びてきて太ってきて、ニキビすごいしさして可愛くないしなんならブスの部類だった。

 

小学生からのエスカレーター式の中学校生活。初めは別に気にしていなかったんだけど、ある時気づいてしまった。

 

「別に本心から可愛いと思って可愛いって言ってるわけじゃないなコイツら」

わかってた、わかってたんだけど。私が比較的おとなしい部類の人間だったから「可愛い~」ってなで回さないと間が持たなかったんだろうなって気づいてしまった。

 

それからは「可愛い」って言われると嫌な気持ちになってしまった。嫌だから『いや、別に可愛くないよ』って言うんだけど『何言ってんの~』とかなんとか返されてしまう。そのやりとりがとても嫌いだった。

 

もうそんな年でもないのに、永遠にちびっこ扱いみたいなのが嫌いだった。同級生と同じマウンドに立てなかった。

 

でも昔から人に嫌われたくないという思いが強かったから、本気で怒ることもできなかった。上記のような問答も何度か繰り返すと面倒くさくなってくるし、いつしか流すようになってしまった。本当に後悔している。

 

高校生になった。同じ中学校のさして仲の良くない子と同じクラスになった。

 

『ザックちゃんほんと可愛い~』

出た~~~~

 

私は心を閉ざした

 

別にそんなこと思ってもないくせに言わないで欲しい。

コイツにはこれ言っときゃいいだろ。みたいな。

別にうれしくないわ。

 

私は『いや(別に)…』としか言えなかった。

 

そんなこんなで私は「可愛い」アレルギーになった。

 

おしまい。