【ネタバレ有】映画「ソニック・ザ・ムービー」感想!~キャラデザと吹替版キャスティングは間違っていたのか~
映画「ソニック・ザ・ムービー(以下、映画ソニック)」を遅ればせながら見てきました。
映画ソニックといえばキャラクターデザインが気持ち悪すぎて炎上した上に主役であるソニックの吹替に声優の金丸淳一さんではなく俳優の中川大志さんを起用して再び炎上したことが記憶に新しいですね。
今回は実際に映画を見た立場から
・映画のソニック像と声優について
・修正前のキャラクターデザインとストーリーの繋がり
に主に着目して感想を述べていきたいと思います。
ストーリーにはあんまり触れません。
まあまあネタバレしていますのでご注意ください。
簡単なあらすじ
地球とは別の惑星で平和に過ごしていたソニックは生まれつき持つスーパーパワーを狙った敵に襲われ、故郷を追われてしまう。リングの力で地球へ逃げることに成功したソニックだったが、それから10年間「グリーンヒルズ」という町で誰にも見つかることのできないひとりぼっちの生活を続けていた。ある日スーパーパワーが暴発し一帯を停電させてしまい、天才科学者ドクター・ロボトニックに存在を気づかれてしまう。ソニックの力を狙うロボトニックの追っ手から逃げている最中、偶然出会ったトムに助けを求め、二人の逃走が始まる。
本作のソニックは決してヒーローではない
ファンが持っているソニック像といえばソニックアドベンチャーより確率されてきたちょっぴりキザで格好いい、自由を愛し風を体現するかのような…いわゆる「モダンソニック」だと思うのですが、本作ではそのイメージをガラッと覆す「幼さの残る人恋しいソニック」像を全面に押し出しています。
経緯はわかりませんが、このあたりに、あえて金丸淳一さんではない違う方を起用した理由があるのではないかな~…と(ポジティブに)考えています。(単なる大人の都合だったら普通にショックです)
あらすじにある通り、本作のソニックは10年間誰とも顔を合わせることなく、洞窟の中で生活をしています。洞窟の中には自らが集めてきた娯楽で溢れており、退屈しません。本を読み、運動をし、自分を相手に一人で卓球をする。町の住民たちを観察し、ひっそりと共に時を過ごす。ソニックからすると「グリーンヒルズ」の住人たちは常に身近に存在している家族のようなもの。なのに誰も自分の存在を認めることはない…。少年野球の試合を見て「ハイタッチ」に憧れてしまうような、誰かとの関わりを求める人間らしいキャラクターになっています。
また本作のソニックは誰かを助けるヒーローではなく、むしろトムに助けを求めます。自分一人ではサンフランシスコへの行き方さえわかりません(ここから真っ直ぐと言われたら真っ直ぐ走りすぎて海に落ちて戻ってくるなど)。自慢の足があるのにトムの車に乗って移動するしかないんです。
この時点で私たちの知っている「ソニック」ではないんですね。そんなソニックを金丸さんが演じたら、それこそコレジャナイ感が出てしまう、のでは…声を分けることであえて私たちの中にある「ソニック」像が守られているように感じました。これはこれで良いんじゃない?という…新しいソニック像として受け入れることができたのはむしろ声のおかげかもしれないです。(個人的に、です)
追記:実際、中川大志さんの演技は声優初挑戦とは思えないように上手く、初めて見る分には不満はないかと…ソニックに始めて触れる方へむけて(新規ファンが増えるかどうかは置いておいて)間口を広くすることはできたのではないかと思います。
声優さんへのリスペクトから一度お断りしたにも関わらず吹替を受けて下さった中川大志さんのプレッシャーは凄かったと思う。新しいソニックをありがとうございました。
さらに追記:よくよく考えたらテイルスの声はちゃんと広橋涼さんだったことに気づいてなんでやねーーーーーん!!!となっています。なんで…なんでなんだ…やっぱり大人の都合なのか…なんで…なん……な…………。
………………。
新しいキャラクターデザインとストーリーの齟齬
ストーリー序盤~中盤でソニックとトムはバーのような場所に立ち寄るのですが、そこでトムはソニックのことを「コイツは皮膚の病気のせいで背が伸びなくなった上にこんな外見なんだ(けど40過ぎの大人だからバーには入れるだろ?)」というニュアンスの説明するのですが、ここに新デザインとの齟齬を感じます。
というのも新デザインはあまりにもオリジナルに寄せすぎていてキャラクターチックになっているんですね。ソニックはバーに入る際に帽子にサングラス、シャツを羽織った出で立ちをしているのですが(カワイイ!)、どこからどう見ても人間には見えません。旧デザインなら人間寄りなので説得力があったかも…。
また、人間たちは事あるごとにソニックのことを「エイリアン」と呼び、エンカウントした際には叫んだり気絶したり…出会い頭で驚くのはしようがないとしても、ぐったりしているソニックを見て驚き気絶するといったシーンなども、私たちはこのかわいらしいテイストのソニックを見慣れているので(こんなにカワイイのになんで気絶すんねん!こんなにカワイイのに!)と思ってしまい、どことなく違和感を覚えます。(名探偵ピカチュウと同じテイストのかわいらしい3Dモデルなのに、世界観は違うのでしようがないにしろソニックはストーリー内で怖がられているのが解せぬ。人権が欲しい。)
デザイン改善されてよかったネ!などと手放しに喜んでいたのですが、実際に見てみると印象がかわるという稀な事例…でも実際に旧デザインのソニックでやってたらまじで見ていられなくて地獄だったかもしれないと思うとやっぱり改善されてよかったなあ…というジレンマが起きています。(でもラストにサプライズ登場したテイルスが旧デザインだったらそれこそ泡吹いて気絶していたかもしれないので命拾いしました。テイルスかわいい。)
おまけ:ソニックのアクション描写めっちゃよかったよ
むっっっっちゃよかったです。ここだけで見る価値あります。実写化してくれてありがとう。町中や観光地を駆け巡るソニックを見れただけで満足です。ホーミングアタックのエフェクトが格好いいです。(ソニックは足が速いだけなので高速でタスク処理ができるのは違うんじゃないかという野暮なことはいいません)
トレーラー映像で紹介されていた「ミサイルに囲まれた状態で余裕ぶっこいて突っ立ってるソニック(しかも旧デザイン)」を見たとき(これはアカン…解釈違いや…オワタ…)などと思っていたのですが、本編ではうまく落とし込んでいました。ヤムチャ視点の逆みたいな感じですね。
あと車の運転中にロボトニック製のロボットに襲われるシーン(これも一部がトレーラー映像にありましたね)、大きいロボットを壊すと中から一回り小さいロボットが出てきて、それを壊すとまた一回り小さいロボットが…というマトリョーシカ的なものだったのですが、ゲームの中ボスと戦っているかのような感覚を味わえてこれも良かったです。
まとめ
なんか前半部分が微妙に批判的なニュアンスの感想になってしまったんですが、総じて見るとバランスよく構成されていて良い作品に仕上がっているなと思いました。ファンの方としては色々と思うところもあるでしょうが、一見の価値はあると思います。見ずに叩いてる人はぜひ見てから叩いて欲しいです(無責任)。一度しか見ていないので違うところがあったらゴメンナサイ。以上、いちソニックファンの感想でした。
おしまい。